Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2015年7月9日木曜日

読書『愛と幻想のファシズム』(上・下)村上龍著

愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) 愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫)

お世話になっているメンターのような方にお薦めされて読んだ村上龍の『愛と幻想のファシズム』。
村上龍は当たり外れが激しいと個人的には思っていて、(たしか前回読んだのは『イン ザ・ミソスープ』か『イビサ』だった)
一方で、『五分後の世界』の世界や『半島を出よ』のような、渾身の力作もある。
今著は後者に属するもので、あとがきにも記してあったように、かなりの数の経済書を渉猟し、専門家にも取材を多数行っているのが物語を読み進めるだけでも理解できる。

この本を通貫するテーマは「狩猟(hunting)」と「革命」。
一介のハンターがカリスマ性だけでファシスト組織をゼロから組成し、日本、世界を相手に革命を起こしていく。

国際政治の力学(どこまでリアリティがあるかは措くにしても)もヴィヴィッドに描かれ、読み応えは抜群。
スタートアップの人たちこそ共感できるノリというか、「リソースが足りなくて」と嘆息をついている人こそ、一読の価値があると思う。
なにかうねりが生じるとき、元をたどれば、一人の人間の狂乱から生じた妄想と推進力だったりするということが分かる。

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