Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2014年6月23日月曜日

ワールドカップの裏で社会人野球「ルーズヴェルト・ゲーム」を粛々と


半沢直樹」が空前のブームを巻き起こし、同じ製作陣が同じ池井戸潤作品で、満を持してつくり出した次のドラマが社会人野球と企業再編を題材にした「ルーズヴェルト・ゲーム」。

巷はワールドカップ一色ですが、今作で描かれるのは青島製作所という潰れかけの中小メーカーの野球部が廃部寸前に追い込まれながらも、逆転に逆転を重ねていくというもの。
物語は野球部の話と会社の経営再建の話が同時進行していく。

そもそもタイトルにもなっているルーズヴェルト・ゲームの意味とは、
「点を取られたら取り返し、8対7で決着する試合」を意味し、野球を愛した第32代アメリカ合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトが1937年1月に、ニューヨーク・タイムズの記者に宛てた、野球記者協会から招待されたディナーを欠席することを詫びた手紙の末尾に記された「一番おもしろいゲームスコアは、8対7だ」という言葉に由来する。(Wikipediaより)
「やられたら、やりかえす」というのは「半沢直樹」から通底するテーマで、なにが違うかといえば、当事者たちの規模感というかプレイヤーの違い。
半沢では銀行間のバトルが描かれたわけですが、今作では大中小のメーカー間の争い。銀行も融資絡みで少し関係しますが。
そこに野球部というサブ要素が絡まり、メインのストーリーと交叉しながら、「逆転につぐ逆転」が描写されていく。

TBSのドラマ製作陣はおそらく演出の福澤克雄さんはじめ、キャストにかなりこだわっているのがうかがえます。
脇役ながら目立っていたマキタスポーツさんなど、存在感が強い役者陣のなかでぼくが個人的にツボだったのは監督の大道を演じた手塚とおるさん。



一見監督には相応しくないのではないという出で立ちながら、セイバーメトリクスのような統計データでチームの変革を成し遂げていく。
いわゆる熱血系監督とは違うという意味で、手塚さんが適役だったのが後から分かります。

あとは青島製作所の専務・笹井を演じた江口洋介さん。
生え抜きで社長候補の筆頭と言われながら、外部から来たコンサルタントの細川に社長の椅子を奪われ、内心に憤怒の念がちらつく。
水面下ではそりが合わず、腹心にクーデターをおかしそうな危うさを持っていそうなのだけれど、どこかで忠誠心というか、細川と同じベクトルを向いているという微妙な境遇をうまく演じられているように思えました。さすがです。

最後はぜんぜん関係ない動画でしめます。
奥さんの森高千里さんとギグしている貴重と思われる一幕。



【前回のドラマの話題】⇒木村拓哉主演『宮本武蔵』

ワールドカップという華やかな舞台の裏で、衰退が叫ばれている野球というスポーツの中の、さらに檜舞台からは遠い社会人野球。
なんとなく(関係ないですが)マクルーハンのこんな言葉を思い出しました。
(サッカーとは?)やがて野球の座を奪うスポーツ。無位置的、分散的、団体的で―つまり、電子時代の本質を備えているから。
ルーズヴェルト・ゲーム (講談社文庫)ルーズヴェルト・ゲーム
池井戸 潤

講談社
売り上げランキング : 237

Amazonで詳しく見る

0 件のコメント:

コメントを投稿