Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2014年1月3日金曜日

映画『ゼロ・グラビティ』アルフォンソ・キュアロン 13'


本当は公開直後の年末に観ておきたかったのですが、年を跨いでしまいました。
周りの強い勧めもあって、IMAX 3Dで鑑賞。
もちろん映像美や高品質の3Dもそうなんですが、IMAXは何よりサウンドシステムが素晴らしい。
『ゼロ・グラビティ』にはピッタリのシアター・システムですよね。
この作品はおそらくDVDで観ると、魅力が半減してしまうのではないでしょうか。

細かい内容の話は脇において、僕個人としてこの映画に埋め込まれたメッセージは「生と死」、それも人間個人のようなミクロなスケールではなくて、宇宙という一個の人間にとっては壮大過ぎる空間との対置において、人類ひいては時間・空間の誕生をも描き出そうとしたのではないか。

サンドラ・ブロック演じるライアンが、なんとかソユースに辿り着いたときに、まっさきに宇宙服を脱ぎ捨て、膝を抱え、空中に浮遊します。
あそこは赤ん坊が母親の胎内、羊水の中で静かに呼吸を打ってるメタファーに他ならないのではないでしょうか。
加えて、中国の宇宙ステーション「天宮」から神舟で無事に地球に着水し、沈んだ宇宙船から抜け出し、水面に向かって泳いでいくシーン。それにクロスオーバーする、「カエル」。
これもまた精子、卵子の結合受精、胚胎を暗喩しているのではないか。

本編通して、出てくるキャストはほぼサンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニーの二人のみ。
キャストを最小限に留めることで、どこまでも広がる宇宙空間の御胸に抱かれた人間の微小さを明示している。

すぐに立花隆さんの『宇宙からの帰還』を読み返したくてたまらなくなってしまいました。

宇宙からの帰還 (中公文庫)宇宙からの帰還
立花 隆

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【完全主観採点】★★★★☆


【前回の映画の話題】⇒「ゼロ・ダーク・サーティ

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