Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2013年9月2日月曜日

読書『社会学 ウシジマくん』難波功士著

社会学ウシジマくん

関西学院大学社会学部教授、難波功士さんの『社会学 ウシジマくん』を読了。
落ち着いて、時間が取れたらと思い積読していた一冊。
ウシジマくん』ファンであり、社会学もかじりつつあった自分としては、一読しておきたかった。というより、難波さん自体、メディア論を包括的に勉強していく中で何度となく、耳にする研究者だったので。
難波さんの経歴が自分にとってはかなり興味深い。
京大文学部を卒業したあと、博報堂に入って、そこから再びアカデミズムへと戻っていくというキャリア。


ウシジマくんといえば、日本社会の裏側に蔓延る魑魅魍魎にスポットライトを当て、嫌というほど読者に「オチさせる」マンガですが、なんでか次巻も手にとってしまうんですよね。ぼくなんかフォローしてる数あるマンガの中でも、ウシジマくんは相当優先順位上です。(このブログでも度々、話題に上げてます。たとえば「配られたカード、振られていたサイコロ」)
現時点での最新刊は28巻の「洗脳くん」です。Amazonレビューはなんやら辛辣なコメントが多いですが、ぼく個人としてはかなり楽しめました。
なんかマンガなのに実証性とかリアリティがとことん求められてるのって、評価の裏返しというか証左なのかとも思いますが。
この「洗脳くん」に関しては、出てくるキャラクターの設定、そしてプロットが縒糸のように絡み合っていくのが壮観でした。


友人の中には途中で嫌気をさしてフォローするのを止めてしまったという人も結構いるんですが。
文系の大学生でとくに社会学系を専攻している人からすると、本当に社会学的着想の宝庫なんですよね、ウシジマくん。
それを社会学者が真正面から切り込んで、社会学の理論とか学術的な見地から仔細に分析していって、その都度、類似の問題を取り扱った文献と照合させていく作業。
難波さんならではの仕事。ここまでの裾野の広さを持ってるって、やっぱりアカデミズムでも社会学ならではだと思います。
とくに昨今の社会学の「なんでもアリ」感については、他の領域学問から批判的にとらえられることも多くて、たとえば仲正昌樹先生なんかが『〈学問〉の取扱説明書』で政治学や経済学などと対置させながら、アカデミズムにおける社会学の立ち位置について分かりやすく説明していました。


ウシジマくんの世界観に触れる扉としてはマンガと比べれば断然"ヌルく"なってしまうのですが、ドラマとか映画もあるので、そっちでもいいかもしれません。(そもそも大島優子が出てる時点でキャラ設定が緩くなってしまいますよね、どうしても)
先日、WOWWOWでやっていて、ついつい2回目も観てしましました。
ただ、マンガはマジでエグいです。きっと1巻から拒否反応出ちゃう人もいるかもしれません。
エピローグで難波さんがこんな雑感を述べられていました。
「社会問題とされないという社会問題がもっとも根深い社会問題なのかもしれません」

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