Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2012年9月28日金曜日

読書『選択の科学』シーナ・アイエンガー著


「選択」に関する数々の著名な研究で知られるコロンビア大学・ビジネススクール教授シーナ・アイエンガーさんの『選択の科学』よみました。
日本でもNHKのコロンビア白熱教室などで広く知られていると思います。
もっとも知られた研究としては「ジャムの研究」があります。
スーパーにジャムの試食ブースをつくり、ある週末には6種類のジャムを、別の週末には24種類のジャムを並べて買い物客の反応を調べるという実験を行った。
24種類のジャムが並べられていたときは買い物客の60%が試食したが、6種類のときには40%しか試食しなかった。しかし、驚くべきことに、選択肢の数は購入には逆効果となった。品揃えの多いブースでは買い物客の3%しか購入しなかったが、少ない選択肢しか与えられなかった買い物客は、30%近くが買ったのである。(引用元
つまり多様性は正義という一般に信じられている通説に対して、セールスの観点から考察すると人はある程度絞られた選択肢に引き寄せられるという研究結果が出たのです。

アイエンガー教授は全盲です。 でもぼくは思うんです。
全盲や失聴だったり、五感の一部を失っている人は感性が極限まで研ぎ澄まされていると。物事の本質や人の行状を看破する洞察力が極めて卓越していると思います。
この本でも数々の研究から目から鱗の事実がいくつも浮かび上がってきます。
研究から意外な結果が得られるものを紹介した本としては『みんなの意見は案外正しい』なども驚き満載でした。

ただ驚嘆するようなデータを列挙するのみならず、生きていくことや、生きていく意味など哲学的観照と紐付けながら論を進めていくので、とても引き込まれる。
その意味でいうと『20歳のときに知っておきたかったこと』と似たような色彩があります。

あえて一説気に入った部分を引用するとしたら、本著で援用されているストア派小セネカの言葉ですね。
「隷属状態が、人間の存在全体におよぶと考えるのは誤りである。人間の大切な部分に、隷属はおよばないのだ。たしかに肉体は主人に隷属し、捕らえられているかもしれないが、精神は独立している。実際、精神はきわめて自由で奔放なため、肉体を閉じこめている監獄でさえ、それを抑え込むことはできないのだ」

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