Each day is a little life: every waking and rising a little birth, every fresh morning a little youth, every going to rest and sleep a little death. - Arthur Schopenhauer

2012年3月20日火曜日

読書『「当事者」の時代』佐々木俊尚著


発売日に青山ブックセンター本店で購入した佐々木俊尚さんの新著『「当事者」の時代』を読みました。
これまでも「キュレーションの時代」をはじめ、佐々木さんの著作は数多く読んできました。
佐々木さん自身、入魂といっていたように500P弱あり、新書にしてはかなり重厚感あるものとなっています。

佐々木さんの言葉遣いは内田樹さんの本を読んでいるように感じる時があります。
言葉の真芯はドッシリと強固に貫かれていて、博覧強記ぶりが伝わってくるのですが、それでいて言葉の端々がソリッドでカッコイイ。筆致がどことなくクールなんですよね。
素養の深さとともに、その広範な知見が経験に裏打ちされているところは僕みたいな若造には絶対にない点だと思います。

さて、この本の核となる箇所を紹介。
マスメディアは、<異邦人の庶民>という社会の外側の幻想の存在を仮構し、この存在から社会を逆照射することによって、絶対的な立場を確保し、その高みから社会を見下ろすというアプローチを採っている。
メディアの空間は<マイノリティ憑依>というアウトサイドからの視点と、<夜回り共同体>という徹底的なインサイドからの視点の両極端に断絶してしまっている。
この文章をみただけでは理解はできないと思います。
500Pにも及ぶかという力作のなかで数々の実例を引き合いに出しながら、この結論を導くにいたった経路が明示的に描かれています。

プロのジャーナリストとして培ってきた自身の濃密な実際的な体験や全方位にわたる情報網から執筆していると思われる佐々木さんの著作の多くが未来予言的な性格を帯びていることは広く知られているとおりだと思います。
未来を洞観する力。これは一筋縄では身につけられないし、それを提示したところで「身も蓋もない」と身も蓋もない批判を浴びせられることが往々にしてあると忖度しています。
それにも動じず、(時に苛烈なバトルを繰り広げていらっしゃいますが...笑)次の時代を見据え続ける人は理屈抜きにカッコイイと思います。

そんな大人のひとりにいつかなりたい、です。



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